テイルズオブジアビスについて語る。


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フォロワーさんとこういう会話をしてました。

 

 
ここで、自分の思春期に影響を与えられたものってなんだろう?
 
と考えたすえ、
 
テイルズオブジアビスだという結論に至りました。
 
たぶんこれがなかったら、私ここにいない。
小説とか書いてない。絵も描いてない。生きてはいただろうけどおそらくここにはいない……ということで、私の人生を変えたのはテイルズオブジアビスです。
 
今日はテイルズオブジアビス(以下アビス)について語ろうとおもいます。
 
 

そもそもアビスって何?

テイルズ オブ ジ アビス』(TALES OF THE ABYSS、略称:TOA / アビス[3])は、ナムコ(後のバンダイナムコゲームス)から2005年12月15日に発売されたPlayStation 2RPG『テイルズ オブ』シリーズのマザーシップタイトル(本編作品)第8作目で、シリーズ10周年記念作品。公称ジャンル名は「生まれた意味を知るRPG」。キャラクターデザインは藤島康介

テレビアニメ版が2008年10月から2009年3月までMBSほかで全26話放送された。2011年6月30日にはニンテンドー3DS版が発売された[注釈 1]

PS2版はThe 9Th CESA GAME AWARDS FUTURE を受賞し、その後日本ゲーム大賞2006 優秀賞を受賞している。
(Wikipediaより)
 
 
主題歌はBUMP OF CHIKINの「カルマ」。
テイルズオブシリーズにはそうそうたる有名アーティストの方々が主題歌を提供しており、これもテイルズオブの魅力のひとつなのです。
個人的に好きなのはボニーピンクさんの「鐘を鳴らして」や浜崎あゆみさんの「progress」なのですが、これらはアビスと関係がないので割愛。
 
 
アビスがどういうストーリーかというと、

キムラスカ・ランバルディア王国とマルクト帝国。敵対関係の二大国の危うい均衡状態が続く中、キムラスカ公爵家の一人息子・ルークがマルクトの者に誘拐される。後に救出されたものの、ルークは全ての記憶を失っていた。

それから7年後、自分の屋敷に軟禁されて育ったルークは、師匠・ヴァンとの剣の修行が唯一の趣味となっていた。ある日、ルークはヴァンを殺そうと屋敷に不法侵入してきた少女・ティアと擬似超振動を起こし、彼女とともに見知らぬ場所に瞬間移動する。屋敷に戻るためにティアと行動を開始したルークは、その先の長い旅路で多くの人々と出会い、自分の生まれた意味を知ることとなる。(Wikipediaより)
 
ということです。自分で書くよりWikipediaのほうがわかりやすいと思い引用させていただきました。
 
物語の主人公がルーク、ヒロインがティア。それからもうネタバレしてしまいますが物語のラスボスがヴァン師匠です。
すいません、さすがにネタバレはどうかと思いましたが、ネタバレなしでアビスを語ろうものなら「なんやかんやなルークがなんやかんやあって成長してなんやかんやあってティアをはじめとする仲間たちとともになんやかんやしながら世界を救ってなんやかんやする」みたいな、もはやなんやかんやが主役な感じでしか語れないと判断したものですから、がっつりネタバレしていこうと思います。
ちなみにヒロイン・ティアとヴァンは兄妹。
 
 

ルークってどんな主人公?

ということで最初は主人公の説明から。
ルークは王族というやんごとなき身分の、数々のテイルズオブ作品の中でも屈指のロイヤリティあふれる主人公。ただし性格はワガママあんど自己中オブ自己中。唯一自分を可愛がってくれるヴァンが大好き。
しかしその実態はヴァンによって作り出されたレプリカ(物語におけるクローン人間の呼称)でした。
では、そのルークのオリジナル(おおもと)になった人間は一体?
 
それが「アッシュ」です。
 
 

アッシュ

ローレライ教団という世界共通の宗教が持つ軍隊、神託の盾騎士団の特務師団長であるアッシュは、10歳のころまでルークという王族の男の子でした。そう、アッシュこそが正真正銘の「ルーク」なのです。
ところがヴァンに誘拐され、自分のレプリカを作り出されてしまいます。そしてレプリカに自分の王族という居場所を奪われた彼は「アッシュ」と改名し、神託の盾騎士団を率いるヴァンのもとで働きます。
こんな経緯ですからアッシュは現在のルーク、つまり主人公を恨んでいます。そりゃそうだ、自分のかわりに「ルーク」として生きてるくせにワガママ放題なんだから。
でもね。でもね、アッシュは今でも故郷の王国のことは大事に思っているんですよ……。とくに自分の婚約者であった女性のことは、たとえ自分が結婚する未来は失われていてもなお大切に思っています。ここがもう女性ユーザーの心をがっちり掴んだポイントであることは間違いないです。かくいう私もその一人。
 
ここまでくるとヴァンに対してドス黒い感情がふつふつと湧き上がってきますね。なんてことをしてくれたんだと。
なので次は、
 
 

ヴァン

の紹介です。
彼はなにも「俺が世界征服してやる!」な欲望のままにレプリカを作り出したわけではありません。違うのです。
彼はかつて戦争で故郷を失いました。そしてその故郷を滅ぼしたのが、レプリカ生成に用いられる技術に実験体として使われた「自分自身」だったのです。このあたりの説明は難しいですが、とにかく彼の故郷は島国だったのですが、ヴァンというたったひとりの被験者の力だけで島まるごと消滅してしまったのです。
これがヴァンが世界に対して良からぬ思いを抱いたキッカケです。
その後、彼は神託の盾騎士団の総長という地位を手に入れこそしたものの、世界への復讐というか、絶望というか、けっして善いとはされないであろう計画を立て始めます。
それこそが「世界まるごとレプリカ化計画」です(こんな呼称ではないですが)。
どういうことかというと、レプリカ技術では人間どころか木々や土地そのもののレプリカを作り出すことが可能でして、ヴァンの考えによると、今ある世界のすべてをいったん消し去り、そこからレプリカとして生まれ変わらせよう、ということです。擬似世界ですね。
途方もない計画ですがヴァンは実際に物語終盤、レプリカ技術によって故郷を復活させています。計画を実現させる、このあたりが悪の華というか、悪のカリスマですね。カッケーです。
 
 

アビスにハマったきっかけ:世界設定が緻密

このアビスの世界設定は特殊で、よくある中世~近世ヨーロッパ風の世界かと思いきや、「預言(スコア)」という、その名の通り未来を的中させる預言が存在している世界。
人々から土地、天災などにいたるまで、舞台となる世界の惑星そのものの未来が何年先まで決められている……という、羨ましいんだか微妙なんだかちょっと決めづらい設定があります。
人々は預言に忠実に生きており、預言どおりに生きることこそが重要とさえ思っています。
ちなみに大昔から決められている「世界は滅びるよ」という預言に対し、主人公ルークたちが預言を覆すべく奮闘するというストーリー。このあたりはありがちか?
 
ほかにも、音素(フォニム)というエネルギーがあり、このアビスの世界において万物には音素が宿っていると言われています。
この音素を使った戦艦とか!ロープウエーのような天空滑車とか!かっこいいんですよ!
なにより音素を使った魔法、譜術。これですよねRPGの醍醐味って。魔法陣が展開して魔法をバーンと放つ、うーん大好きな映像。
 
この音素や譜術、そして預言を詠んだ始祖ユリア、ローレライという音素による意識集合体、それらを祀ったローレライ教団、そして預言を巡って争うキムラスカ王国とマルクト帝国……ひそかに暗躍するヴァン……うーん!
 
中二っぽくてなんかイイ!
 
こうした童心をくすぐられます。
ファンタジー好きにはたまんないです。
 
 

アビスの最大の魅力:ストーリー

なんといってもこれですね、アビスの魅力。
正直に言えば鬱が欝を呼ぶ、まごうことなき欝ストーリーなのですが、なぜだかついつい惹き込まれてしまう。
 
メインキャラクターとなるのは先述したルーク、アッシュ、ヴァンです。
自分がレプリカであることを知ったルークは、自分の元になったアッシュと比べ、力量不足な自分にくよくよ悩みます。
一方アッシュは、自分のレプリカに居場所を奪われたことや、そのレプリカがくよくよしている不甲斐なさを目の当たりにしたことによる苛立ちなどを抱いています。
ヴァンはそんな二人のことなんか知ったもんかーい!という勢いで自分の野望にまっしぐら。しかしルークもアッシュもヴァンの野望を阻止するという目標を掲げ活躍します。
そう、ルークもアッシュも世界を守りたいんです。だけどこの二人は反発しあう……では二人は和解することはないのか?
 
するんです。
 
ここがアビスの最大の見せ場、ルークとアッシュの決闘です。
ヴァンが居る場所へ向かうため、ルークとアッシュのどちらか一人が犠牲にならなくてはならない場面が起こります。
 
 
ルークとアッシュにとっての和解とはなんなのか。
それはルークが「自分はレプリカだがルークである」ということを心から認め、アッシュは「自分はかつてルークだった」ということを認める。これが二人の和解の形であると私は考えています。
「俺はもうルークではない(だけど自分がルークのままだったらどれだけ良かったか)」というのがアッシュの根底にある心の膿だったと解釈しているのです。
そしてルークは、「自分は生まれず、アッシュがルークだったらどれだけ良かったか」。こう悩んでいたのですね。
 
だけど生まれたものは仕方ないし、居場所を奪われたのも過ぎたこと。
 
そして二人とも、「自分はルークではない」と無意識のうちに思い込んでいる。
お互いがお互いに「ルークという存在であること」を譲り合っている、と言えばわかりやすいかもしれません。
 
じゃあ今の自分を認めることが大事なのではないか?
 
だからこそアッシュに勝ったルークは生きのびたし、ルークに負けたアッシュは現れた敵に対し「このルークが相手だ」と名乗る。
 
これでルークは自分が今のルークなのだと認めたし、アッシュは過去のルークは間違いなく自分だったのだと認めた。ヴァンに誘拐されてレプリカを生成された時点を分岐点とし、そこから過去のルークと現在のルークで同じ「ルーク」を半分こした。共有した、それが和解だったのではないでしょうか。
 
 
こうした人間の内面の複雑さが描かれたアビスに私は惹かれました。
 
レプリカを親友と呼ぶ仲間や、ツンツンしつつも最後にこっそりとルークに告白するヒロイン・ティア、アッシュのプロポーズなど、重要な場面に一々わあー!と胸を躍らせていました。
 
当時中学生(だったかな?)の私は、この世界設定についてうんうん考察したり、ひそかにイラストを描いたり、サウンドトラックを聴いたりと、テイルズにハマっていく道をたしかに歩いていたんですねえ。
 
そのときはアッシュが好きでしたが、今は大佐のようなテキパキしたおとなに憧れてます。
 
また、RPGってこんなに繊細なストーリーなんだと知ることができたのも収穫でした。それまでゲーム=ただバトルするもの、と思い込んでいたので。
そういう意味でもアビスに触れたことは幸いだったなあと思います。
 
 
以上。

 

次はヴェスペリアについても書きたいな。と思います。